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政宗が、図面を指差すと、半透明がその箇所をじっと見ていた。
「カルシウムが無ければ、流動鉄の資料をあげるよ。重いけど丈夫だ」
半透明に、データを送信してみると、近くの鉄を取り込んでいた。
「君は、誰と喋っている?」
振り返った荒川が、半透明を見つけてしまった。
「これは、人造人間なのか?」
「そうです」
人造人間は、データを取り込み、進化するようになっていた。母体は、半透明のぶよぶよだが、次第に人間に近付く。
「君はもしかして、分散したデータを取り込み、一つとするために生まれたのだね」
半透明の水には、無限のデータ保存機能があった。半透明が頷いていた。どこが顎なのだか分からないが、頭がぷるんと揺れる。
そうか、ミラレスは滅んでしまったが、データが生きていた。
「では荒川さん、質問も無いようなので、帰ります」
政宗には銃口が向けられていたが、半透明が忍び寄ると、銃に絡みついていた。
「待ちなさい、この半透明の制御方法はあるのかな?」
「そのデータは、まだ発現していないようです」
そのまま政宗が歩き去ろうとする。
「それから荒川さん。俺、家族を皆殺しにされたら、地球を皆殺しにしますよ」
既に皆殺しの方法も、幾つか思いついた。江戸崎の情報もあるので、後で栽培してみよう。
「それは楽しいね」
睨み合ってから、ふと思い出した。
「埋葬したいので、胎児の遺体を貰えますか?代わりに、破損していたデータを捕捉しておきますよ。何か所か図面が欠けていた」
「いいだろう」
宝来が殴る意味も分かる。荒川は、いつでも、政宗も、政宗の家族も殺せると踏んでいる。殺すということに躊躇がない。
これは怖い相手であった。
冷蔵されていた胎児を受け取ると、政宗は大事に胸に抱いた。産まれたばかりだというのに、母親からも離され、寂しく不安であっただろう。
「んん?」
政宗が胎児の頭をそっと撫ぜると、電気信号を発見した。胎児の脳は、悪夢を見ていた。小さな波形であるが、脳が完全に死んではいなかった。
「どうした?」
ここで嘘を言ってもバレるだろう。
「脳はまだ死んでいません。データ、全て取れなかったのでしょう。接続しますか?」
ついでに、胎児の悪夢も終わらせてあげたかった。
「……、機器、すぐに準備しろ!」
機器、かなり旧型であった。政宗は、あったシステムから機材を勝手に抜き取ると、改造を加える。
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