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政宗は生体には詳しくない。
「そうですね…」
茶屋町も、預かった時計を見ながら、頷いていた。
茶屋町は既に引き受けていた仕事の合間に、時計の製造番号から素性を調べていた。政宗は、時計を丹念に分解し、一つずつパーツの由来を調べ出した。
精密に製作されたパーツは、拡大しても美しい。でも、オリジナルではないパーツが混じっていた。
長針と短針が、オリジナルではない。拡大すると、加工面に小さな穴のようなものも開いていた。
「これ、素材が脆いな。まるで、骨のようだ」
骨をコーティングしているように見えた。政宗が詳しく素材を調べると、本当に骨であった。
「何故、骨が…」
この骨の針では、耐久がない。もしかすると、この針のせいで、時計を動かないようにしたのかもしれない。時計を動かすと、針が折れる可能性が高かった。
「茶屋町、長針も短針も骨だな」
「そうですか。その理由は分かりそうです」
茶屋町の調査で、この骨の由来が分かりそうであった。
二千翔には兄が居たが、ガオンで死亡していた。有害ガスによる死亡で、その遺体はガオンから出す事ができなかった。ならば、この骨の持ち主である確率が高い。指一本、もしくは内部の骨の破片ならば、隠れて持ち出せたかもしれない。
「もしかして、この時計が墓標であったのか…」
父親が技師でガオンに派遣されなければ、子供は亡くなることはなかった。その上、遺体も引き取れなかった。親としての、悔しさや、哀しみが分かる。
「針のDNA鑑定してみるか」
ちゃんと調べる事にしたのだが、そこで奇妙な事実が発見された。たまたま、長針も短針も鑑定依頼したのだが、長針は二千翔の兄の確率が高かったが、短針は別人のものであった。
「誰の骨?」
時計に聞いても、回答は来ない。茶屋町が、骨のDNAで検索をかけていると、相手が分かったと思った瞬間に、データが削除されていた。
その後、何度も端末をハッキングされ、その度、詩織が撃退していた。
「とんでもない人物なのか?」
政宗は、軍経由で、DNAの検索を掛けてみたが、同じくデータを削除されていた。
削除されていても、何かが残っている筈だと、データの周辺を漁ってみる。すると、微かな情報が浮かび上がってきていた。
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