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政宗も天然体であるが、どちらかというと戦闘体でもある。脳に特化した存在ではない。
地球が天然体を怖がる理由が、政宗は少し分かった。
第二章 声なき者、告げる
茶屋町がうまく地球に連絡を行い、共同作業でガオンに行けるようになった。主に政宗は、天然体から情報を引き出す役目を担っていた。政宗は、事情はどうであれ、坂江と話せるならば、それで良かった。
「他にも条件がありました」
茶屋町は、言い難そうに政宗の視線を逸らしていた。
「…条件?」
政宗は作業場で、茶屋町と並んで作業していた。メカニックな政宗は、青のつなぎを着て、青の帽子を被っている。作業場には、政宗の養子たちが住んでいるが、今は学校に行って留守であった。
作業場には、フェイクゴーストを調整している機材が並んでいた。ユカラからの依頼で、古い医療機器も運び込まれていた。ジャンク街にあった医療機器なのだが、患者の記録が入ったままなのだそうだ。それが、二百年前のもので、医療記録が貴重で、正確に保存して欲しいという。
医療機器は、茶屋町と詩織が組んで、情報を整理していた。
「他の条件は何だ?」
茶屋町が、ごにょごにょと何か呟いた。
「え?」
政宗が小さく聞き返す。
「……政宗の所有者が、付いてゆくと言っています」
所有者?宝来のことであろうか。確かに、そのまま政宗が地球軍に連れて行かれる可能性もあった。他に、地球軍はミラレスを抹殺しようともする。
「宝来もそんなに暇ではないだろう…」
宝来は、宇宙軍の大佐であるのだ。
「それが、政宗が軍部の所有であるので、任命されているとのことです」
軍部の命令で、宝来が来るとなると、それは来る。
「…………勘弁してくれ」
宝来は、政宗の幼馴染であり、同じ孤児院出身であり、同性ながら結婚もしていた。様々な事情があって結婚したのだが、それが、オウランドを出ると生きている。
宝来は、実力もあり頭も切れる、最強とも呼べる戦闘体で、能力には何の問題もない。けれど、性格には問題がある。
「ええと、俺は虎森丸で行く。地球軍の宇宙船には乗らない。軍部の宇宙船にも乗らない」
「それが、虎森丸は許可されません。ガオンに有毒な物質が多く、生きている宇宙船は不向きです」
緑王号は長距離の移動には向かない。
「それでは、これから一機、作る」
意地でも、自分の宇宙船で行くつもりの政宗であった。
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