第1章

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「親父の図面を見たのだ。すごく、懐かしかった。今は、もう居ないのだよね」  あの時の大人が、今は誰も生きていないのだと、政宗は改めてショックを受けた。 「そうか。ミラレスは、俺達を造ってしまったからな。それは進化であったのか、神への冒涜なのかは不明だな」  宝来、最強のミラレス。政宗を選んでくれた相手、政宗の最愛の相手であった。 「よし、傷みは納まった。続きをするか!」  政宗は、宝来の上に跨ると、自分からキスをしてみた。 「そのまま、腹上死?でいきますか」  宝来の手が政宗の腰をサポートする。  政宗のペースで、宝来を飲み込むと、ゆっくりと動き出す。体が馴染むまでの、拒否反応が、政宗を襲う。  泣きたい気分で政宗が固まると、宝来がそっと起き上がり、抱き込んだ。 「無理するな」  宝来の膝の上で、政宗が揺らされていた。開きたくないと、体は本能で拒否する。危険だと、脳も拒否する。その拒否が、次第に快楽に変わってゆく。 「あ…あん…」  宝来の手で支えられ、中央には宝来だけが居る。政宗を大きく占領し、攪拌してくる相手に、政宗は身も心も翻弄される。  政宗は押し倒されると、二つ折りの状態で抱き込まれていた。 「愛している、政宗」  いつもだ。いつも、政宗の余裕の無い時に、宝来は愛を囁く。 「足、しっかり抱えていろよ」  ベッドに押さえられるように、政宗は、宝来から激しく突き上げられていた。恥ずかしい恰好で、政宗は、それだけで羞恥に染まり余計に感じる。 「た、から…」  呼ぶ声に熱が籠る。 「政宗、俺のもの…」  珍しく宝来が、政宗の所有を主張していた。  坂江 紫音。ミラレスでは機械工学の他に、人工生命の研究をしていた。両親共に研究者で、境遇は政宗と似ていた。普通の研究員夫婦に生まれた、天然体。   地球に留学の後、帰ってきたミラレスで地球軍の攻撃を受ける。後に、ガオンに派遣され機械工学のみの研究に限定される。  政宗は、宝来の宇宙船で部屋を与えられていた。機材も一緒で、茶屋町も一緒であった。  暇になると、戦闘機の整備もしているが、今は機材の確認に専念していた。確認?ではなく、改造に専念していた。 「茶屋町。通信回線があるだろ、それを人間の神経に波長を合わせられるか?」 「どんな配線ですか、それは」  微弱な電気信号を読み取る機材。それでも、茶屋町は政宗のリクエストに応えていた。
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