第1章

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 Naked Moon 望 『Stratosp heric blue』 第一章 幽霊船  惑星MHZ28(通称オウランド)、各種企業の研究所と、学園から成り立つ星であった。地下鉱物も多く、住居として使用できる土地は少ないが、人々は豊かな暮らしをしている。  そこで、からくり屋を営む、成田 政宗(なりた まさむね)は、今、大企業から呼び出しを受け、依頼内容を聞いていた。  からくり屋は、再利用の進んだ社会で、前の持ち主がセットした事柄や、癖などが発動する現象(フェイクゴースト)に対応・修理を行っていた。  政宗の隣に座る、茶屋町 一樹(ちゃやまち かずき)は、政宗の相棒で、通信技術のプロでもある。  政宗を呼びだしたのは、イルミナ・フォンという企業で、主に通信機器を売っていた。通信の高速化のために、中継用の衛星を飛ばしたのだが、その通信を遮断する物体があり、それを排除して欲しいというのが、依頼内容であった。  政宗が渡された写真を見ると、それは、宇宙船のようであった。 「妨害ですか?」 「いや、この船の持ち主は倒産していて、放置されている船でした。衛星打ち上げ時の衝撃で、位置が移動となり、結果、通信の妨げになっています」  宇宙船を爆破すると、せっかく飛ばした衛星にも影響が出る。 「それで、廃船を移動したいのですか?それとも解体?」 「ユカラの砂漠に着陸させたいのです。どこに飛ばしても、この船は邪魔なので。代金とは別に、スクラップ処分代も支払います」  廃船は、イルミナ・フォンが、国から処分代を貰い、権利移行したのだそうだ。  少し、からくり屋の仕事とは異なる。 「砂漠の権利を持っているのが、からくり屋とユカラから聞いております」  からくり屋は、砂漠に王ランドという施設を持っている。そこで、宇宙船の離発着もしているので、砂漠の権利となっているのかもしれない。 「しかも、お二人は、軍部の出身でスクラップには詳しいとか」  詳しいという訳ではないが、政宗と茶屋町は、左遷されている時に、無人のような空間のスクラップ置き場に派遣された。そこで、今のからくり屋の、基礎を培った事は確かでもあった。  スクラップからの再利用基準や、基本の処理など、今、宇宙でも採用されている基準も作っている。フェイクゴーストの対応も、ここで山ほどしたので、経験が多い。 「お引き受けする前に、調査させてください」
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