第四章 幻影船

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 カメドンが気になったと、 上原がオウランドにやってきた。 本当に、カメドン目当てだったらしく、 政宗の家に来ると、一日中カメドンを構い、 すっかりカメドンに嫌われていた。 「上原、メシ…」 「カメドン、かわいい」  政宗も横にしゃがみ込むとカメドンを見るが、 いかんせん目は今も包帯のままだった。 でも、音や匂いで、 だいたいの形や動きは分かっている。  政宗が手の伸ばすと、カメドンは自分から寄ってきて、 頭を政宗の手に擦りつける。 「カメドン、 夕食は何にする?」  カメドンの口が、パクパクと動く。 「ねずみか、分かった」 「肉食なの?」  うさぎの顔をしているが、 草食ではなく、肉食であった。 しかも、生餌しか食べない。
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