嗚呼嘆かわしき

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「女性に突然抱きつくのは、どうかと思いますよ」  とハッターが笑顔のままやんわりとダルクローズに言った。流石はハッターだ、キティとスゥとディリックに関しては自己防衛しか考えてない中でそう言ってくれる常識人の貴方が好き。 「取りあえず、座ってお茶でもいかがですか」  と変態にでもお茶を勧めてしまう優しい貴方も大好き。ダルクローズにはさっさと帰っていただきたいものだけど。 「変態の座る席はないでーっすよ! さっさと帰りやがれです!」  途端に変態が居座るなんてとんでもない、といった様子でスゥが椅子から立ち上がってダルクローズに言った。全くの同感だ、帰れ。 「そんな冷たいこと言わないで、俺の熱いハグで温めてあげるから」 「お断りでーっすよ、帰れっつってんです!!」  という具合であたしから離れたダルクローズがスゥとぎゃあぎゃあ言い合っている間にハッターがダルクローズの分のお茶を煎れ、空いた席に置いた。  それを見てダルクローズがお茶を出された席に座る。願わくはそのまま黙ってお茶を飲んでいてもらいたいものだ。  それが出来ないのが変態というものだが。 「今日もハッターのお茶と笑顔は極上だね」  と、どこかで聞いたことのある台詞を変態は吐いた。どこで聞いたかは思い出したくない、思い出さない方がいい気がする、あたしの精神的に。 「ありがとうございます」 「毎朝俺にお茶を煎れてくれたら最高に幸せなのに」  褒められて素直にお礼を言うハッターに、ダルクローズは続けた。毎朝俺に味噌汁を作ってくれないか的なアレですか、ぶっ飛ばすぞ。 「……ハッターに手出したら許さないからな」  今からトイレのモップでも用意しておいた方がいいだろうか、と思ったけれど、流石にハッターの目の前でトイレのモップを振り回すのは気が引けるから他の撃退方法でも考えておこう。 「大丈夫、俺の愛は平等だから!」  何が大丈夫だ話噛み合ってねぇ。何をどう解釈したんだ、わけが分からない。 「……何で変態が席に座ってるんだ」  あたしが意味不明な変態の言動に頭を抱えていると、逃げていたキティがいそいそと戻ってきた。こんにゃろう逃げやがって、どうしてくれようか。まあ今はハッターのいる手前、復讐はお預けにしてあげるけど。
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