嗚呼嘆かわしき

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 あたしがケーキを飲み込むと、満足したらしいダルクローズは自分の席に戻ってご機嫌で皿の上のマカロンに手を伸ばした。あ、そのマカロンは……。 「アリスが作ったマカロン……」  ちぃくんが苦々しい表情でぽつりと呟いた。まあ、別にいいんだけどね、ダルクローズがあたしの作ったものを食べても。黙って食べていてくれるなら。 「うん、美味しい、アリスはいいお嫁さんになれるね!」  間違ってもお前の嫁にはならないからな、という言葉は飲み込んでおく。何せ1を言ったら10は変態が返ってくる男だ、この際無視をするのが吉だろう。こいつは空気、そう、空気……。 「というわけで俺と結婚しようか」  ……と思おうとしたけど、何も言わなくてもやっぱり変態は発動した。 「誰がお前と結婚するか、寝言は寝て言え」 「寝てないし寝ないし寝かさない。俺、毎日毎晩満足させてあげるぜ?」  聞きたくもないけどどういう意味だ。ダルクローズの言葉に場の空気が凍り付く。ここまで人を引かせるダルクローズの変態はある意味天才だ、いや、天災だ。 「本当にアリスの料理は美味しいですよね」  そんな凍て付いた空気の中で、ハッターがあたしに向かって天使のごとき笑顔を浮かべてそう言った。その笑顔に、あたしの心が春の陽気に照らされた雪のように溶け出していくのを感じる。 「ありがとう」  ハッターの為ならマカロンだろうが味噌汁だろうが何でも作るよ。それでハッターが喜んでくれるなら、あたしも幸せになれるから。  ――――その後、事ある毎にセクハラ発言を繰り返していたダルクローズはランディアからの召集があったらしく、迎えに来た7と口喧嘩をしながら帰って行った。  そして帰る寸前にもダルクローズの変態は収まらず別れの挨拶と称してあたしたちにキスをせがみ、結果地面と熱いディーベを交わしていた。  ……ちぃくんやスゥに足蹴にされてもダルクローズが恍惚とした表情をしていたように見えたのは、気のせいだろう。うん、気のせいということにして忘れよう。その方がきっと幸せだから。
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