第1章

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その春は、僕にとってこれまでと違って、すべてが新しく始まるような、そんな春だった。 気の遠くなるような長い長い受験生活をなんとか乗り越え、大学に入学することができた春。もう受験なんてしない、と決めた春。あのときは、僕を祝福するように優しい風が吹いていたっけ。 お昼になると食堂の前は、サークルや部活の勧誘で人が溢れかえっていた。どのメニューも考えられないほど格安の学食。どこまでが敷地なのか分からないほど広いキャンパス。僕には何もかもが新しく、輝いて見えた。
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