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「茜ちゃん大丈夫!?」
雪はあかねの傍へ行き、声をかけ身体を支えた。
「うん、ありがとう…よかった」
雪は茜のその言葉を聞き、不思議そうに聞いた。
「あ、えっと…どういうこと?」
茜は捕まってる間に聖人が言ったことを全て話した。
「あー、なるほど、そういうことね。それなら大丈夫だよ」
次は茜が首を傾げ、問いただした。
「それは…えと、何?」
雪は俯き、少し頭を掻いたあと茜の目を見て口を開いた。
―そして今―
目の前にはその雪がいた、約束を交わした翌年の春に離れ離れになった雪が。
「本当に雪なんだね…その話し方と声」
茜は今目の前にいる雪に向かいそう問いかけた。
「うん、そう…それと一つ、茜に言わなきゃいけないことがあるから『コイツ』と変わるよ」
茜は不思議に思い質問したが、それは雪が変わった後だった。
「ごめんね、驚かせちゃったかな?もう一人の『ボク』が言ったように今から少し説明させてもらうよ?」
茜は入れ替わった雪に向かって頷いた。
「ありがとう、じゃあまず僕が今言ったDIDっていうのは病気なんだ。DIDは略称で、本当の名前は解離性同一性障害っていうんだ」
茜はそれを聞いても驚きはしなかった。それどころか真剣な眼差しで話を聞いていた。
「この障害にはいくつか種類があって分かれてるんだ、その中でも僕のは人格がもう一人の自分に変わる人格障害らしいんだ」
それを聞いた茜はしばらく考えた後質問した。
「じゃあ、私が今まで話してた雪は…」
「うん、それは交代したもう一人の『ボク』だよ、主人格は僕の方。小学校の頃の僕は人前で話すのは苦手だったんだけど、それを僕はどこかで嫌に思ってたらしくて…そこから出てきた人格がもう一人の『ボク』なんだ」
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