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茜は納得したような顔だったが、まだ少し受け入れきれてなかった。
「僕じゃダメだった?」
雪は納得しきれていないような表情の茜の顔を見て質問した。
「えと、ごめんね、まだ少し考える時間が欲しくて…イヤって言う訳じゃないの」
「そっか、よかった。僕もごめんね、転校してきて早々こんなこと言っちゃって…あ、ほら!そろそろ昼休みも終わっちゃうから戻ろっか」
茜は頷き、雪と教室に戻っていった。
放課後も茜は不安なまま一人で家に帰った。
(今まで私が話してたのはもう一人の雪…)
茜は家に帰ると自分の部屋へ行き、今日雪から聞いたことを考え、整理した。
「主人格なんて言われても私にはわからないよ…」
茜は理解できない自分が悔しくなり、涙目にそう呟いた。
「そうだ、ちょっと真子に聞いてみようかな」
そう言うと茜はすぐに真子に電話をした。
(茜…?)
真子は自分のスマホ画面に表示された名前を見た。
「もしもし、茜どうしたの?」
真子は茜に全て聞き、少し考えていた。
「うん、そっか、大丈夫だよ!そんな泣かないでいいから、一つだけ聞いて」
真子はそういうと一呼吸した―
「人格が違ってもその人はその人、絶対にその人自体が変わることはないんだから」
真子はそう言うと茜に別れを告げ、電話を切った。
(人格障害か、中学生の時そんな子いたな…まさかね)
真子は中学生の時のある友だちのことを考えていた。
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