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じっと亨に見つめられて、少し戸惑ってしまったけれど
それは嫌なものではなく、とてもくすぐったい。
恭しく私の手を取ったまま
その視線はとても熱っぽく、私の顔が急速に耳まで赤くなるのがわかる。
「春妃、綺麗だ」
気恥ずかしくてまた目を伏せた時、小さな呟きが聞こえて
ぽろ、とこれまで堪えてきた涙が落ちてしまった。
返事の代わりみたいに
つないだ手の指先に、きゅっと力を入れた。
今日から、私はこの人と生きていくんだ。
亨がずっと、この先も私を見つめてくれるんだ。
そう思うと、式の最中で
神様の前だというのに
すぐにも寄り添って、抱きしめて欲しくなった。
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