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私の涙腺は、神様の前で愛を誓った時にはもう限界で
指輪の交換の時には、見かねた亨がハンカチで涙を拭ってくれた。
いくらなんでも、泣き過ぎた。
アイメイクはそれほど濃くなかったのがせめてもの救いだ。
披露宴のガーデンパーティが始まる前の僅かな時間。
庭の会場へ降りていく螺旋階段を目の前に、漸く二人きりになれたもののお互いなんだか照れ臭かった。
「化粧直ししたんだな」
「したよ。もう泣かない」
泣き過ぎてどれほど恥ずかしかったかわかってるくせに
あえてその話題を持ってくる亨に拗ねて、そっぽを向く。
すると首筋に手を添えられて、親指でくいっと亨の方へと方向修正させられる。
「こんな日くらい、素直にこっち向いとけ」
そういえば最初は、この無駄にエロい感じが大嫌いだったのに。
今は、妖艶なその表情が
腹立たしいくらいに、カッコイイ。
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