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式の一週間前からは、ずっと実家に帰っていた。
先月末に仕事も退職して、その一週間は只管親と一緒にいたわけだけど。
いざとなると、なんだか話すのも気恥ずかしくて、ただ母親から教わって料理のレパートリーは増えた。
そして今日、式当日。
一週間ぶりに亨の顔を見られるはずなのに……私の支度が終わっても、ちっとも顔を見せてくれない。
花嫁の方が支度に時間がかかるから、式場に着いたのは私の方が先だ。
だけど亨もとっくについてるはずだし、準備も整ってると思うのに。
「春妃、すっごい綺麗!」
控室で待っていると、両親に次いで来てくれたのは美佳だった。
美佳も綺麗だ。
いつもはちょっとオヤジな彼女だけど、シックな紺の膝丈のドレスとパールのアクセサリーで清楚なお嬢様に変身していた。
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