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「ありがと。美佳もいつもと違ってお嬢様みたいで綺麗」
「いつもお嬢様でしょ私は」
軽口を叩きながらも、私はそわそわと落ち着きなく扉の方へと目を走らせる。
気付いた美佳が、苦笑いをした。
「間宮さん?」
「あ……うん。もう来てるよね?」
私はちょっと、声を潜めて美佳に尋ねる。
だって、今朝からお父さんの機嫌が最悪に悪いから。
結婚には反対しなかったくせに、いざとなると不穏な空気を漂わせるってどうなんだろうと思う。
「来てるわよ、ちゃんと。さっき挨拶したもの。ただ、ここには来れないかも」
「えっ? なんでよ」
顔を近づけて更に声を潜める美佳に、私からも前屈みになり耳を澄ませる。
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