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「来ようとしてたのよ、さっき。でも春妃のお父様が」
「えっ? お父さん?」
「そう。許さなかったのよ、式が始まるまではまだうちの娘だって言って、そこの扉でシャットアウトしちゃって」
「何ソレ」
式が始まっても終わっても、娘は娘じゃないの、と呆れた声を上げた。
未だ不機嫌な父親の横顔を見ていると、不安になってくる。
これから、式が始まればヴァージンロードを一緒に歩かなければいけないし、その後は披露宴だってあるのに。
「……お父さん」
「なんだ」
ぶっきら棒な返事が来るものの、こちらを見向きもしない様子にどっと疲れを感じて、隣に立つ母親と目を合わせ二人同時に溜息をついた。
まあ、いくらなんでも。
ぶち壊したりはしないだろうけど。
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