第1章

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10年前、私たちの両親は交通事故で亡くなった。運転中に別の自動車が横から突っ込んできて、二人とも即死だったそう。 残された私と弟と妹は、母方の祖父母に預けられた。幼かった下のきょうだいたちも、私も、祖父母に任せるままお葬式や納骨を終え、それからは毎年お墓参りして、毎日仏壇に飾った両親の写真に手を合わせた。 おじいちゃんとおばあちゃんはとてもよくしてくれた。けどやっぱり、授業参観や運動会となると、周りの友だちと比べてしまい、両親がいない寂しさが浮き立つ。良いことといえば一つ、彼らが亡くなってから、怖い借金取りが訪ねて来なくなったことだ。 そして私は今、大学生になり遠く離れた土地に一人で住んでいる。 ピーンポーン。 「いらっしゃいませー」 早朝のコンビニ。まだ夜が明けたばかりで薄暗い。私が山積みになった箱から品出しをしていると、自動ドアが開いて冷たい冷気とともに一人のお客さんが入ってきた。 私は寒気に身震いした。 「すみません、新垣さん、ちょっと来てくれますか」
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