摩天楼に響く悲鳴

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ら隅まで読んでも下層役場への地図は載っていなかった。 「……場所ぐらい載せておけよ」  地図でも買いに行こうかと考えていると不意に後ろから声をかけられた。 「お困りかな?」  聞き覚えの無い声を聞いて振り返ると黒いローブを着た怪しげな男がいた。 「悪いが呪術師に絡まれるほど暇じゃないんだ」 「呪術師なんて今頃いるのかね。それよりも、道に迷ってるんだろう?」  さっきの独り言を聞いていたらしい。 「盗み聞きとは感心しないな」 「まあまあ、案内してやるよ。下層役場だろ、行きたいのは。実は今から俺も行くところでね。その新聞にも載っていたと思うが調査依頼を受けようと思ってな」 「お前もか」  まあ金貨三十枚と言えば相当なものだ。それだけあれば慎ましやかに暮らせば一年近くは持つだろう。当然、この依頼を受ける人数も増えるというものだ。 「そうそう。それでどうせだから一緒に調査しないか? 俺はこ
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