摩天楼に響く悲鳴

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 狗神と共に下層役場へ向かっていると徐々に周囲の雰囲気が変わってきた。 「ここは住宅街か?」 「そうだな。そういえば摩天楼に来たばかりだったな。せっかくだから摩天楼下層について少し教えてやろう」  彼は少しお節介なところがあるらしく、そう言ってここ、摩天楼下層について話し始めた。 「まず、摩天楼下層と言っても実は全部で三十の階層に分かれている。ちなみにここは下から二番目の階層だな。もっともこの下は摩天楼の入り口だから実質一番下と言ってもいいだろう」  摩天楼の入り口か。自分も通って来たが人の住むような場所ではないことは確かだ。大きな壁、やたらと広い空間、何重もの扉、それに警備らしい人が数人いるだけだった。 「ここが一番下だとして上に三十近くもこんなところがあるのか、多いな」 「いいや少ないさ。摩天楼の高さがどれほどかわからないが、確認されている高さを考えてもかなり少ない。もっとも一つ一つの階層が相当な高さではあるがな。天井には空でも飛べなきゃ届かない。スラムには行ったか?」 「ああ、下からエレベータで昇ったら目の前がそうだったからな」
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