摩天楼に響く悲鳴

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「その疑問はもっともだ。しかしなあ、中央のエレベータだと三十層には行けないのさ」 「ん? そうなのか」 「政治関係の場所が集まっているからな、襲撃に備えてセキュリティが厳しいのさ。それであそこに行くには居住区の奥にある小さなエレベータを使う必要がある」 「小さな、か」 「大人数での襲撃や大量の兵器を持ち込まれることを警戒しているんだろう。宝玉の方が場合によっては恐ろしいだろうに。そうそう、ついでに」  狗神はにやりと笑って俺の槍を指差して言う。 「そういう物騒な物も持ち込めないぞ」 「……盗まれないか?」  どんな反応をすべきかわからずなんとか出てきた疑問を言うことしかできなかった。しかしまだここのことはよくわからないとはいえ、最初に出たスラムの印象が強くてとても治安がいいとは思えない。そこら辺に放置していたら次に来た時にはなくなっているだろう。 「一応、上に行くときに物を預けられる預かり所がある。まあ銀貨一枚とられるけどな」
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