摩天楼に響く悲鳴

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居るのだろうが、まともなら金を借りたやつを追いかけたりはしないだろうから目立たないのだろうな。 「ローディオ一家はとにかく数が多くて縄張り意識も強い、金貸しのギンは普段は穏やかだが金を返せないとなったら借金した奴の知り合いからでも金をむしり取る。他にもいくらか知っているがどいつもこいつも似たようなものさ」 「なるほど」  どうしたものか。面倒事が御免なのは確かだが、だからと言って見捨てるのも後味が悪い。どっちを選んでも心穏やかとはいかないのだろう。 「狗神としてはできれば仲間に入れたくないってことでいいのか?」  とりあえず狗神の意見を聞いてみる。主体性を放棄してみるのも一つの手段だろう。 「そうだなあ、面倒事が御免なのは確かなんだがな。実を言うと俺は借金取り共とも多少の繋がりがあるから何かあっても逃げられるんだ。だからお前が決めていいぞ」  しかし狗神も自分で決める気はなかったらしい。それどころか奴はそもそも面倒事にも巻き込まれないらしい。余程の人脈があるということなのだろうからそれが仲間になってくれているとい
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