摩天楼に響く悲鳴

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 色々あってエレベータの前に辿り着いた。その横の壁に背を預けて一人の男が憮然とした表情で立っている。狗神はその男に近づき声をかけた。 「やあやあ、イーさん。ちょっと荷物預かってくれるかい」 「……三人分か?」 「そうそう、よろしくね」  そう言って狗神が三枚の銀貨を手渡す。 「……ん、確かに」  イーさんと呼ばれた男は手の中の銀貨を確認すると狗神の荷物を預かってエレベータの横にある金庫らしきものの中に入れていく。 「二人も早いとこ荷物を預けろよ。どうせ持っては上がれないし」  俺とミヤは顔を見合わせるとどちらからともなく持っていた荷物をイーさんに預ける。ついでに金庫を覗いてみるが、中にはいくらかの荷物が置いてあった。こんな不用心に扉を開けてもいいものなのだろうかと思ったが、少なくとも狗神の言うことを信じるなら安全性はかなり高いのだろう。金庫の扉が閉まるのを確認するとエレベータの前に三人で集まる。 「さあ、上に行こうか」  そう言って狗神がエレベータの扉の横についているボタンを押
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