摩天楼に響く悲鳴

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うだ。ありがとうな少年」  そう言って少年の手を握る、と同時に金貨を握らせた。小さく、礼だ、と耳打ちしてその場を去っていく。あの少年はあの金を有効に使ってくれるだろうか。こんなスラムで生活しているのだから、それを求めるのは酷かもしれないな。  少年の指し示した方向に歩いて行くと俄かに周囲が活気づいて来る。どうやら、スラムがあるのも一部のことらしい。どこも変わらないということか。適当に歩いていると商店街に辿り着いたらしく、威勢の良い呼び込みの声が響いていた。一体どんな店があるのかと覗いていると果物屋や服屋に武器屋、宝玉屋まである。摩天楼には六大社があるというし、一体どんな宝玉があるだろうかと気になって宝玉屋に足を踏み入れる。 「おや、いらっしゃい。見ない顔だな」  厳つい顔の店主がそう言って出迎えてくれた。繁盛しているのか宝石の付いた高そうな腕輪を付けている。 「まあ初めて来たからな」  そう言って中をぐるりと見ると、棚に多くの種類の宝玉が並んでいた。 「流石は摩天楼だ、品揃えが違う」 「そら当然よ、社の半分近くがこの摩天楼にあるんだ。どうだい、
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