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そういうと店主は奥に行って緑色のビー玉ぐらいの大きさの宝玉を取ってきた。
「これが出来損ないだ」
「確かに、色が弱いな」
中心の辺りが僅かに緑色に染まっているだけでほとんど透明だ。おそらくこの程度の色なら使ってもそよ風を起こすのが精いっぱいではないだろうか。
「まあ、本当ならこんなのでも結構な貴重品でな。いざというときに取っておきたいんだが……。どうだい、これと店に並んでいる商品から三つ合わせて金貨十枚で譲ってやるよ」
「……金貨十枚か」
今の手持ちは金貨十五枚、いや、さっき少年に渡したから金貨十四枚。それに銀貨が十枚ほど。金貨十枚渡しても数日の食事には困らないし、さっき見た鉄の宝玉が金三枚だったことを考えれば悪くない取引か。
「そう、だな。いいだろう」
「毎度。じゃあ三つ好きなのを取ってきな」
そう言われて店の物を見て回る。とりあえず鉄の宝玉の特に色の濃いものを確保しておく。それからしばらく店内を物色する。
「なあ、木の宝玉は無いのか?」
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