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「うんうん!そうだよね~。立派に育って、沢山の人に喜んでもらおうね」
パンパンっ、ポンポンっ。
ジャージについた土を掃う。
「あ!チャイム鳴った。それじゃあみんな、また後でねっ」
学校中に響く予鈴を聞き、
僕は畑の道具を片付けて野菜たちに一旦お別れをし、
裏庭を足早に抜ける…――
(…あ、今日は水曜日だから朝練なかったんだっけ)
ちらりと横目に、
体育館の中を見た僕は…、
いつもするはずの運動部員たちの賑やかな声がしないことに、
少しだけ寂しく思った。
「ここまでくればもう大丈夫かな」
生徒の下駄箱の前。
僕は胸に手を当て、
息を整えながら上靴に履き替える。
「あっ!綾野くん、おはよ~」
僕の隣に立ったクラスメイトの女の子が、
同じように靴を履き替えながら話しかけてきた。
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