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18歳の冬、私は身体の弱い従姉妹のユリアと共に親戚のサットー様に連れられて社交界へと顔を出していた。
サットー様は王家の人間でこの国の事実上のNo2でありその分家であるアルバーノ公爵家、ボロネロ侯爵家である私達はなに不自由の無い生活を送っていた。
ユリア アルバーノは私の4つ下で女の私が男ならば…なんて思ってしまうくらいの美しい可憐な少女だった。
そんなユリアの事が一番お気に入りの祖父はユリアを完全に屋敷に閉じ込めて蝶よ花よと育てていたがいざ自身が危篤状態になった今彼女の未来を案じてか社交界に自分の兄であるサットー様と共に送り出すようになった。
こうして私、エレナ ボロネロは可愛い妹のようなユリアと共に社交界へと繰り出す。
「ごきげんよう。 」
絢爛なホールをサットー様にエスコートされ私とユリアはホールを進む。
初めてであるユリアは身を固くしながら挙動不審に周りをキョロキョロしていた。
そんな仕草も可愛らしい。
サットー様がホールに入ればたちまち人に囲まれる。
そんな、普通の出来事だったのにこの日は何故だか違うのだ。
皆遠巻きに我々を見ている。
私は不思議に思いサットー様のいく道を見るとそこにはまだ若いちょうどユリアと同じ位の女の子が綺麗な男の人にエスコートされてそこにいた。
サットー様がその男の前に立つと男の人はにっこりと胡散臭く笑い男の人の横に平然とした顔で佇むこれまた美しい少女をサットー様の前へ押し出した。
押し出されてもなお女の子はにこりとも笑わなかった。
…あら、なんて珍しいの?サットーお祖父様の前では皆媚を売るのに。
これが彼女への第一印象だった。
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