第2章 賭博師のラブシュプリマシー

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「恵美が選んでくれたスカートを穿いて……坂井さんの部屋に行ったんです。怖かった……! でも、恵美が側にいてくれた気がしたから……頑張れたんです……!」  そうだ。人殺しの家に潜入したのだ。怖くないはずがない。 「良かったですよ、神楽坂さんも和明も無事で……。本当に、良かった……!」  自分まで泣いてしまいそうで、颯太は必死で歯を喰いしばった。 「でも、今度からはちゃんと言ってください。ひとりで無茶しないでください」  颯太は愛里の肩に手を置いたままそう言った。 「不幸体質で頼りないかもしれないけど、でも、俺、神楽坂さんを守ってみせます。神楽坂さんが悩んでいたら助けになります。だから……」  愛里が顔を覆っていた手をどけて颯太のことを見上げた。  彼女の長い睫毛に乗った涙がダイヤモンドのようにきらきらと光っていた。 「はい……ありがとうございます……!」  そう言って愛里は笑った。  涙でくしゃくしゃになった何とも歪な笑顔だったけれど、素敵な笑顔だった。
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