第2章 賭博師のラブシュプリマシー

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「あなたの隣は空き部屋でしたよ。まさか、知らなかったんですか。大家さんに訳を話して入れてもらったんです」 「どうやって俺の家を突き止めた!」 「SNSなどの情報管理はしっかりした方がいいかもしれませんね。これですよ」  そう言って愛里が手に持ったのはスマートフォンだ。 「あなたの名前と顔は分かっていました。福豊くんが用いたのと同じ方法で。そして、医学部の知り合いに頼んで林原くんに面会に来たあなたの写真を確認してもらったんです」  颯太は直接病院に出向いたが、愛里は知人に尋ねるという最も簡単な手段に出たのだ。 「いやあ、人脈は大事ですね」  愛里は得意げに言った。 「あなたの名前が分かれば後は簡単です。あなたの名前をFacebookで検索します。あなたが写っている写真を探します。あなたと一緒に写っている方の名前を調べます。その際、なるべく仲が良さそうな方を選びました」  これは愛里の言った通り颯太の使った手段と同じだ。Facebookには写真に写った人物の名前(もちろん登録されていることが前提だが)を表示する機能がある。だから、たとえ見たことのない人でも名前が分かってしまうのだ。この方法で颯太は竜崎恵美という人物から坂井直人という人物を炙(あぶ)り出した。
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