第2章 賭博師のラブシュプリマシー

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――――  11月3日は見事な快晴だった。  秋晴れという名の特異日の通り、雲ひとつない快晴だった。  今日は文化の日で休日だ。  愛里と颯太と林原の3人は、栃木のとある田舎町に来ていた。  ここには竜崎家の実家がある。そして、恵美の眠る墓もあるのだった。  今頃、東京ではマスコミが大騒ぎしているだろう。  警察の捜査ミスが発覚したのだ。警察はそれを全面的に認め、謝罪した。  そして、3件の犯行に関わったとして坂井は逮捕された。殺人罪が1件と殺人未遂罪が2件だ。  愛里のことは一切触れられていなかったが、それで良かったのだ。  じきにこの田舎町にもマスコミが押し掛ける。その前に墓参りを済ませておこうと考えたのだ。 「それにしても神楽坂先輩……いい脚してますね」 「ちょっと、あんまりじろじろ見ないでください」  バスの座席に腰掛ける愛里に向かって林原がそんなことを言う。  恵美の眠る墓まではバスで移動する。恵美の両親に訳を話したら、両親は泣きながらも愛里に感謝の意を示し、墓までの道筋を教えてくれた。 「やめろよ和明。神楽坂さん困ってんだろ」 「とか言いつつ、お前もさっきからちらちらと見てんじゃねえか」 「見てねーし! 本当に、ほんとに見てないですからね! ね?!」
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