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今、愛里は恵美の選んでくれたミニスカートを穿いていた。膝とスカートまでの距離がかなり広く開いている。そのため、愛里の真っ白で細い足が露わになってしまっている。
「ふたりともセクハラで訴えますよ」
「だから見てないって!」
このスカートを穿くのは2回目だ。本当は最初に恵美に見せる予定だったが、予定がだいぶ狂ってしまった。だが、このスカートのお陰で恵美は救われたのだ。真犯人は逮捕され、恵美の死は事故ではなくなった。
田舎道を市営バスがガタゴトと進んでいく。
「それにしてもいい天気だなあ。さすが秋晴れ」
「11月3日は統計学的に快晴であることが多いそうです。理由は明らかになっていません」
颯太の言葉に愛里がつられて窓の外を見る。眩しい日の光がバスの中に心地良い気温を提供していた。本当に草原に寝転がって昼寝でもしたくなるほどに陽気な天気だ。
「じゃあ、来年もまた晴れますね」
「それは賭博師の確率論というやつですよ」
去年も晴れたのだから、今年もきっと晴れるだろう。その考え方は1年ごとの天気という独立試行の現象においては成立しない。
「でもまあ、それもいいですよね」
愛里は窓の外に微笑みかける。そんなことを言ってるから愛里には彼氏ができないんだよ、と恵美に言われている気がしたからだ。
「きっと来年も晴れますよ。そして、佳き日になるはずです」
第2章 賭博師のラブシュプリマシー・完
To be continued...
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