店長のお仕事

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そんな不幸話をしたところで私の評価がマイナスになることはないのだろうが、彼が聞きたいのはこの半年間何をしていたんだ?ということだろう。 季節はもう秋になっていた。 「あ、あの内定が決まっていたお店で食中毒騒ぎがありまして、内定取り消しになってしまいました。 …それからはコンビニのアルバイトをしながら就職活動をしていたのですが、なかなか見つからず今に至っております。」 内定取り消しは思った以上に精神的ダメージがあった。在学中は何も手につかず、失意のまま卒業を迎えた。 卒業後もハローワークへ行き、求人情報を見てはため息をつく。求人に多いのは和食料理人だった。 同じ調理師でも洋食を専攻していた私にとっては全く縁の無い別世界の話なのだ。 そんなときこのお店の求人貼り紙を見つけた。何てこと無いただの貼り紙をいつものように横目で見たあと通りすぎた。 しかし『給料25万円~』の文字に足を止め、3歩下がり真っ正面から貼り紙を見る。 間違いじゃない。給料25万円~となっている。 しかも正社員。 『調理スタッフ兼代行スタッフ募集中!』 やった。見つけた。 「そんな時にウチのチラシを見てくれたんですね~」 「そうです。」 「そっか。いやいや。そんなことは別にどうでも良いんだけどね。」 「え?」 「キミ夜の仕事したことあるでしょ?」 「えっ…」 確かにこの半年間コンビニのバイトだけで食べていくことが出来ずに夜の仕事をしていた。 ノルマや縛りのほとんどないスナックで常連客を相手にお酒を飲むそんな仕事だ。 「はい。働いております。」 あーもうダメだ。 自分自身夜の仕事をしていることは決してマイナスだとは思ってはいないが、嫌悪感を示す人物がいることも知っている。 「あーマジで?当たっちゃったよ」 「え?」 先ほどまでの険しい顔はどこへ言ったのか俺スゲーと言いながら笑う彼を見返した。 「たまにあるんだよね。ピンときちゃうこと」 と言って右目を瞑った。 ウインク!? ムリムリムリ!!この人は何か嫌だ。 「そうでなんですか。凄いですね。」 愛想笑いで答えた。
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