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「これって詐欺じゃないですか?」
そう言った私に店長は
「そんなことないよ。メニューにはそう書かれているけど、依頼人に請求するのは正規の金額なんだから」
「じゃあメニューを変える必要なんて無いじゃないですか」
そう言った私にわかってないなぁと言いながら首を振った。
『お代はこちらでお支払しますのでお好きなものを頼んで下さい』
店長が言った。
『当たり前だ。悪いのは全てお前たちなんだから』
と悪態をつきながらも安堵の表情が見えた。
恩を売っておき交渉しやすいようするための作戦かな?
杉下がポケットからタバコを取り出す。
『ここ禁煙だろ!』
と鈴木が激しく注意をした。
まぁレストランでタバコを吸わないのは当たり前の事だが、禁煙と書かれている訳ではない。
チャラそうな格好をしている割にはマナーというものを心得ているのだろう。
杉下はチッと舌打ちをした後、タバコの代わりに貧乏揺すりを始めた。
この男にはマナーというものの欠片もないと思った。
2人分のコーヒーを紫乃さんが運び終えたところで
『私は美奈子さんを真剣に愛しております。お願いです。どうか別れてくれないでしょうか?』
店長が切り出した。
『結局は浮気だろ!この女はいつもそうなんだよ。そう言って離れたと思えばやっぱり貴方しかいないと泣きながら戻ってくるんだ。それになぁ…』
『そうゆう言い方は止めろよ!ちゃんと話し合いをするんだろ?』
興奮した杉下を鈴木が止める。
『私は美奈子さんと結婚を考えております。それに私の方が彼女を幸せに出来る自信があります。』
その言葉を聞いて杉下は店長を睨み付けたが、そのまま話を続ける。
『私は小さいですが病院を経営しております。年収は4000万円ほどです。アルバイトのあなたよりは美奈子に贅沢な暮らしをさせてあげられる』
「ねぇねぇ。須崎は何歳の設定なの?見た目の年齢からして病院経営は無理がない?しかも年収4000万円ってそこそこ大きい病院じゃない。」
紫乃さんにこっそり耳打ちをする。
「あれくらいの年齢の子って言うのは医者とか経営者って言葉に弱いのよ。
しかも5000万円じゃなくて4000万円ってところにリアリティーがあるから、頭の回転が早くなければその違和感には気付かないの。
後々変だなって思ってもその時にはもう遅いってこと!」
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