第1章 北風と太陽
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「原田、おまえあの客に家を買わせることが出来るか?」 稲葉が声をかけてきた。 「余裕だろ」 と言いながら俺は心のなかで《やっかいだな》と思った。 ここは、都内の住宅メーカーの総合展示場内の広場だ。 休日ともなれば、多くの家族連れが訪れ賑わう場所だ。 イベント、客寄せとして無料でプレゼントを配ったりキャラクターショーをしたりしているのでそれ目当てのひやかしの客も多い。
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