第1章

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同じフロアに住んでいた忍が坊主に誘われて引っ越したのが先月。 何も東道組に住まわなくてもいいだろと思ったが、 坊主が全部仕切ってたんじゃ、 口も出せない。 組長以下、 幹部まで揃ってマンションの裏手に建てた日本家屋に住んでいる。 「まあ坊主も、 アズの誘いじゃ文句も言えねえしな。 たまの息抜きと思やいい」  仁はドアノブに手をかけて忍の腰にそっと触れた。 脱いだコートを受け取って、 椅子に座れと促す。 弟子がせめて朝食を振るまいたいと言えば、 坊主も無下に断れない。 何かとぐちぐちとうるさいが、 忍にとって初めてできた弟子だとわかっていて、 理由なしに引き止めることはできないのだろう。
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