第1章

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「確かに。 大勢に囲まれた朝食より、 アズの手料理のほうが落ちつきますけどね」 「忍先生、 野沢菜いる?」 「ああ、 もらう」  アズが冷蔵庫から出してきたガラスの容器に入った漬物を出して、 テーブルについた。 昔は忍が作っていたのになと、 懐かしく思いながら一緒に手を合わせた。 「いただきます」  忍が手を合わせると、 どうぞとアズが言い、 そのあとキリストの祈りが始まる。 忍も慣れてきたようで、 箸をつけるのはアズが瞳を開けてからだ。 「アーメン」  静かな朝食が始まる。 話すことは彫誓の客の予約と、 ときおり流れてくるニュースの話題くらいだ。 それでも、 坊主がへばりついていたんじゃ、 仕事の話が終われば離される。
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