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「佐野さん…よく聞いて欲しいんだけど…。それ、学校に連れて行くのダメだから。」
それと、おおよそ国民的人気の猫型ロボット同じくらいのカッパのへちまを指差し織部は嬉しそうに伝えた。
その横で生真面目な顔をしながら、ウンウンと頷いている剣青年を佐野は不思議そうに見つめて、どうして?と問いかけた。
「今までは夏休みだったし、コレを見るやつも少なかったけどね~。」
「受け入れてくれる生徒ばかりではないと思います。」
織部は説明し、剣青年が補足する。
佐野はへちまのお皿を優しく撫でて…そうか…と悲しげにつぶやいた。
お皿を撫でてもらうのが気持ちいいのか、へちまはうっとりと目を細めた。
剣青年はミシミシとヒビが入っていくダイニングテーブルが気になったが…見えないふりをして佐野の答えを待った。
そうして…静かに微笑み、佐野は冬也…と甘く呼びかけた。
その声を聞いて…剣青年は勝敗は決まったと確信した。
隣に座るこの魔王のような性格の持ち主は、どうしたって優しく微笑む目の前の男には勝てないのだ。
案の定、デレっとした顔を見せて、なあに?と答える織部に、佐野は告げた。
「…カッパに見えなかったら連れて行って大丈夫なんだね。」
何ですと?
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