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2人は困り果てた顔をして、発泡スチロールの箱を見つめた。
だが、解決策はすぐにやってきたのである。
それは…光が反射して金色に輝く廊下を青いツナギを着て肩に鳥を乗せて現れた。
「…その者…青き衣を纏いて…金色…。」
スパコーンっと軽快な音を立てて穂村君の後頭部を氷川君は履いていた上履きで叩いた。
本当に穂村って訳がわからないよね。
上履きを履き直しながら、ブツクサと呟いていた。
「こんにちは、氷川君、穂村君。」
頭のタオルはトレードマーク。
今日は青いツナギの作業着を着て肩に灰色の鳥…ヨウムのよーさんを乗せた
2人にとっては救世主が現れた。
「「佐野さん!」」
2人は幼子の様に飛びつこうとして、ギリギリで留まった。
だって…だってだよ…今薄ら寒い殺気が…。
急に青白くなった顔の2人を不思議そうに見つめてから、発泡スチロールの箱を指して
お届け物かと尋ねた。
「ですです!お届け物です!」
だけど開けなくなってしまって…と氷川君はシュンとしてしまう。
佐野さんはゆっくりと箱に近づき、優しく撫でる。
「出ておいで…ここは怖くないよ?」
ペリペリペリ…
内側からガムテープのはがれる音が聞こ得たと思うと…
ゆっくりと上の蓋が上がる。
カポーンっと蓋が開くと、中から鼻水と涙を垂らした、へちまがキュウリを抱いて現れた。
佐野さんは両手を広げその手をへちまに伸ばす。
「お帰りなさい。」
柔らかい微笑みに…へちまは迷わず飛び込んだ。
『…たばびまジュラ(ただいまズラ)。』
今日、カッパ届きました。
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