企み1 寮長はファンタジーが苦手

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どうしてみんな普通にしているんだ… キッチンテーブルで、話題の中心になっている人物(?)を見た 剣(つるぎ)青年の感想だった。 それは明らかに人外の色をしていた。 色だけならまだしも、それは頭にお皿があった。 口じゃなくて黄色いくちばしがあった。 アレは…何だ? 「カッパだよ。」 背後から声に振り返れば、短い黒髪を揺らして穏やかに微笑むエプロン姿の男性… へちまのママ(?)こと佐野さんが立っていた。 濡れた様な黒い瞳を煌めかせ、今日から寮で一緒に暮らすんだよ。 と佐野さんが告げる。 「あの子は成葉の別荘地で暮らしていた、カッパのへちまちゃんだよ。訳あってうちで預かることになったんだ。」 穏やかに…にこやかに、しばらくの間は仲良くしてあげてねと微笑む。 佐野さんのカッパを見る瞳には、慈愛というか…親愛というか…深い愛情を感じる。 「カッパ…日本の妖怪…。これから、ここに住む…。」 ここに住む? カッパが? 人語を解する鳥と もはや、悪魔から魔王に変化した生物教師と 人のまぐあいを観察するのが好きな腐男子とか言う人種と… 料理をすれば猟奇殺人現場にする秀才と… あぁ…考え出したらキリがない… そして…何より…視線を向ければ… 可愛い、何て可愛いのでしょうか? と嬉しげに微笑み…緑の…アレを抱きしめる恋人の姿が見える。 額の流血は…くちばしの所為か…。
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