あれから2年

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アキは邪神だと言われていた。 邪神…人々に災いをもたらす神。 でもアキからはそんな様子は全くうかがえない。 夜も遅くなればうつらうつらと眠そうにぼーっとしているし、ポカポカ陽気の日に外でお昼寝する姿を見てしまうと、どうも悪者とは無縁な気がした。 普通、悪い霊に触れば冷たかったり、嫌な感じがするが、アキに触れると陽だまりのように暖かく、癒される。 彼が悪者であったなら一体誰を信じろというのだろう。 そういえば雪華は何処に行ったのだろう。 封印の一つはまだアキが守っている。 アキはあまり気にしなくていいというけれど、またアキを狙ってくるかもしれない。 そう思うととても恐ろしいし気掛かりだった。 そして…穿の事は未だ忘れられなかった。 穿は成仏したと言われてから一度だけ夢の中に現れた。 別れを言いに来たのだろう。 それが最後だった。 それから、何度も泣く私を穿が呼ぶ度に偽物だと気づかされる。 何度も穿の姿をした偽物に騙され手を招かれた。 その度にそれは偽物だよとアキに言われて気づくのだ。 騙して霊力を奪おうとする邪な霊達がいる限り、紫乃の心の深い傷を抉り続けた。 それも力をコントロール出来るようになったらほとんど無くなったが。
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