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ある日の出来事だった。
本日は日曜日。
大学は休みだ。
気晴らしにということで昼下がりに散歩をしていた事だった。
神社の横を通ると小さな稲荷の社が構えていた。
小さな鳥居が何基も立ち並ぶ。
すると身体をぐいっと引っ張られた。
狐霊だった。
暇をしているから構えという事らしいが、警戒心の強い紫乃は「ごめんなさい」と謝り、その場を後にした。
「ま、関わらないほうが賢明かな。」
アキも一言呟いた。
そんな出来事があってから次の日の事だ。
朝の散歩に出かけ出かけ昼頃に帰ると、紫乃は一人家でゆっくりと眠りにつく。
アキどこかに出かけているのか珍しくそばにいなかった。
幽界を1人で散歩していた。
寂れた線路に草が生い茂り、公園が広々とある。
紫乃は芝生に寝転がる。
暫くすると、銀髪の和装の青年が現れた。
「どうか、助けて貰えないか。」
「え?あなたは、そういえばあの時助けてくれた狐さん。どうしたの?」
「術者に烙印を施されて困っている。この烙印は霊魂を捕縛し、式として使役するための術だ。解いてもらえないか?」
額には桜のような紋様が描かれていた。烙印とはこれの事だろうか。
何処かで見た事がある気がするが思い出せない。
「え?!酷い!でも私、術なんて解いた事ない…。」
「俺の額に手をかざし、術を解けよと念じれば良い。」
「わかった。…やってみる…。」
手をかざし目を瞑る。
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