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紫乃は熱を出し、そのせいか力をほとんど使う事が出来なくなった。
正確に言うと力や霊感が不安定になり、制御できない状況となった。
アキは紫乃があの事件後から暫く経ち、落ち着いてから余り毎日側にいるということはなくなった。
今日も普段通りそばにはおらず、大学から帰ると1人で部屋で寝ていた。
夜中に突然身体にのしかかられる感覚がして目を覚ます。
男の霊だ。
両腕を捕まれたように金縛りに合い、身体が動かない。
男は気味の悪い笑みを浮かべながら紫乃の右手に勝手に憑依し胸を揉む。
紫乃が必死で抵抗しようとしても力が入らなかった。
アキが助けにくる気配もない。
というのもアキはよっぽどの事がない限り、簡単には紫乃を助けなくなった。
師匠として甘やかさないつもりでいくらしい。
「や、ヤダヤダヤダー!!!」
抵抗しようとした時だった。
風を感じた。
またあの風だ
身体が軽くなる。
この風には覚えがあった。
「せ…ん…。」
そして何事もなく、気配は消えた。
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