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アキは何もできない自分を嘆くばかりだった。
紫乃は真弓とシオンの物語に、押し潰されそうになってから霞がかかってしまっている。
それ故、彼女自身の殻へと閉じこもってしまい、自分と精神世界で会う事がかなわない。
だが真弓の気持ちもわかる。
自分が特別な存在であるとわかってしまった幼い少女はだいたい自慢したくなるものだ。
でもあまりにも紫乃にシオンと二人の物語を押し付け過ぎてしまっている。
紫乃はその全てを受け入れられるほど大人ではない。
そして孤独と自身の闇と深いトラウマを抱える彼女にとって、自分の事で精一杯なはずなのだ。
しかも…桜は危険人物だった。
あれほど無知な子供が危ない武器(霊能力)を持っているのは危険極まりない事だった。
制御が出来ないのだから尚更だ。
自身をコントロールするための修行も甘すぎだ。
そんな彼女を信用しきっている。
守人が二体…?
そんなモノ必要ない。
私がいる。
でも、今の紫乃に私の声は届かない。
雪華もいつどこで動き出すかわからない。
今、紫乃は一番危険な状態だった。
そんな時に自分は何もできないのだった
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