自我が醒める時

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あの京都旅行から帰り、何日か過ぎた頃だった。 冬休みの宿題もかなり残っていたので、図書館ですることにした。 家では大体集中できない。 精霊という存在が傍にいると言われてから空っぽだった心が何故か満たされたような気もしていた。 名前をつけてあげるといいと言われたので携帯の辞書で調べて悩んだ挙句、穿(セン)という安易な名前を付けてみる事にしたのだった。 そして、真弓の言うシオンという存在は確かにいるのだと凛さんから聞く事ができた。 私は嬉しかった。 彼女の話を聞かされたとき、何も疑う事なく信じることができた私を誇らしく思った。 そして、美優の言葉を聞いて疑ってしまった事に罪悪感を感じた。 でも真弓とはまたいつも通りの関係でいる事はもう無理なのだと、心の何処かで感じていた。 私は色々知り過ぎた。
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