雪華

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みすずが、力を開放し、負の感情に支配された瞬間だった。 雪華の封印は勢い良く解かれた。 雪華は高笑う。 これで封印は残る一つ。 力が増幅される。 紫乃を守るあの霊が邪魔だ。 誰ぞやの術者のように幾つかの霊団を飛ばし、差し向ける。 そして《あやつ》も動かそう。 操りやすいからな。 そして…残るは… 雪華は大きな洋館の建物にたどり着いた。 無理矢理力でこじ開ける 洋館のなかは広く迷路のように入り組んでいたが、雪華は迷う事なく進んでいく。 和の装飾を彩る一室を蹴破った。 畳が広がるその奥に祭殿と一人の少年が静かに佇んでいた。 「残る封印はあと一つだ。アキ。」 アキは無言で雪華を見つめる。 「此処で必死に封印を守ろうとしても無駄だ。」 雪華が、アキの首に手をかけようとした時に焔が 壁を作る。 「私はアキを守るために存在している。手出しはさせないわ。」 金髪が焔の熱風でなびく。ルリだった。 雪華の背後一面には氷の刃が幾つも出現し、ルリを、襲う。 ルリは焔で溶かしかわす。 雪華は交わす余裕を与える事なく氷の刃が雨のようにルリに降り注ぐ。 力では完全に雪華に押されていた。
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