雪華

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そしてルリは多勢の霊達を相手に歯噛みする。 「アキ、逃げて!」 アキは答えなかった。 アキも紫乃の陰の力を抑えるのに限界だったのだ。 彼女の力の反動がこれ以上酷くなれば死んでしまう。そうならない為に抑えていた。 かなり弱っていた。 雪華はその事も全てわかっていた。 襲いくる霊団を相手にルリが苦戦を強いられる中、雪華はアキの首を掴んだ。 アキは一瞬だけ顔を歪めたが、元の無表情へと戻り、雪華を見据えた。 「お前も私に使役されてみるか?可哀想なアキ。 転生も赦されず、みすずに手を出した罰としてみすずの代わりに幾年も封印を守り続けなければならない。 私に使役されれば本望だろう? 何故なら紫乃と私の魂は同一なのだから。 同じ魂を持つ者、どんなカタチであれ貴様は私を愛しく思うだろう? 封印が解ければお前も寂しく此処にいる必要などないのだからな。」 雪華はアキに口付けを交わす。 アキは抵抗出来ないまま静かに目を閉じた…。
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