2人が本棚に入れています
本棚に追加
/213ページ
今は大分感情豊かになったが、紫乃は返りの風をうけてから落ち着くまでの間は喜怒哀楽の感情が欠落してしまった。
人が死んでも痛みも感じない程に心は錆びて乾いていく。
それくらいまで、死にたいと思う程の苦痛に紫乃は苛まれ続けた。
人を呪わば穴二つ。
言葉では安易に言える言葉だが、実際体験してみるとこんなに辛いと思う事はない…。
まるで世界が変わるように全てが悪い方悪い方へと向かっていくのだ。
自分が一番起こってほしくない方向へと…。
霊的世界に関わるようになってから気付いた事だが、戦闘や呪詛、呪術を悪い部分で好む者があまりにも多くいるということだ。
紫乃も幾度か自然霊同士の戦いや、使役霊同士の戦闘に巻き込まれそうになった。
その為、仕方なくいざという時の為に武器を所有している。
アキは武器や戦闘を嫌う。穏やかではない、といつも私を制する。
「お前は漫画の世界みたいな魔法使いや術者みたいにはなって欲しくない。
世の中には必ず因と果がある。
原因があるからこそ、結果が生まれる
お前に今起こっている嫌だ、辛いと思う現象も必ず原因があるのだ。
苦しみ彷徨っている霊達も同じ事。
そこから目を背けずに受け止めなさい。
そして自分のおかれている状況を把握し、それをどう改善していくべきか、常に考え取捨選択し、強く真っ直ぐ生きて欲しい。
武器は必要ない。
力を無闇に振り回す様な幼稚な魂にはなってくれるな。
感情を全て己のなかで統一していくのが紫乃にはまだ足りていない。
」
最初のコメントを投稿しよう!