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「でもやっぱり…この世界では戦わないと生きていけないから。アキ、ごめんね。
私、毎日修業して強くなる。もう誰にも負けないくらい、強くなる。」
そして、今度こそ雪華を封印する。
出来なければ共倒れでも構わない。
いざというとき、雪華を救えないときは…
私が犠牲となり身柱として…
アキは悲しげな表情を浮かべていた。
私は咄嗟に目線をそらしてしまった。
目が覚めると自転車で10分程の距離にある大学に通学し1日分の講義を終える。
講義を終えた後はいつも一人食堂で講義の復習をしていた。
正確には2人だが。
アキといえばいつも紫乃の側にいて一緒に講義を聞いて勉強しており、今は紫乃の向かいの席に座ってうとうとしている。
「ね、紫乃ちゃん、だよね?」
突然同じ学科の学生が話しかけてきた。
「うん。えーっと、あなたは…」
「俺、ミノル。」
髪は黒くショートで可愛らしさのある顔立ち。背はやや低めだ。
「ミノル君…どうしたの?」
「いつも講義終わったあと、此処で勉強してるよね?偉いなーって思って。」
どかっと向かいの席に座る。
アキと重なるがアキはススッと横にずれた。
興味深そうにミノル君と私を見ている。
「あ、ありがとう。」
「良かったら俺も此処で勉強していい?良かったら一緒にやろうよ。」
「え…」
ミノルは紫乃の微妙な反応が気になったようだ。
「あ、俺は別に毎日やるって訳じゃないからたまーにって感じになんだど、それならいい?」
微妙な反応をさとられたのか気を使わせてしまった。
「うん…いいよ。」
「ありがと!じゃあ、また明日ね。」
風のように来て風のように去っていった。
アキはすごーくニコニコしている。
『ふふ、モテ期到来かな。彼もわかり易い』
(えっ…そ、そうなの。こんなのの何がいいんだろ…)
頭を抱える。
『こら、こんなのとか言わない。紫乃は綺麗になったよ。すっごくね。大分痩せたしね。』
(う……褒められるのってなんか慣れないな…。)
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