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-----------------三年前。
紫乃の辛く苦しい思い出。
三年前のあの屋上で起こった事件だ。
そこから紫乃は転落する様に受け入れがたい不幸に見舞われた。
平和な日常が壊れた瞬間だった。
紫乃は初めて蠢めく霊団が視えた。
屍肉が腐っているものや、眼球が抜け落ちている者、頭部がパックリ割れてピンクの脳みそが飛び出ている者、蛇や動物達、様々霊団がぐちゃに寄せ集められている。
紫乃は、あまりの壮絶なグロテスクさに気持ち悪くなって立てなくなった。
吐き気が襲う。
平和な世では見る事の出来ないスプラッタ映像が視える事の辛さを味わうのだった。
俯き、顔から血の気が引く。
背中や額からは変な汗が流れる。
恐怖と吐き気を抑えて動けなくなる。
「紫乃!逃げろ」
穿は霊団を一度に何体も蹴散らした。
突風で急所を外しながら傷を負わせ、吹き飛ばす。
それでも数が多く、払いきれなかった霊達が穿を襲う。
紫乃の悲鳴が聞こえた。
蛇霊が紫乃に憑依しようとしていたのだ。
穿は余裕なく、その霊の急所をつく。
霊団の狙いは紫乃だ。
「くそ…っ」
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