始まりの物語

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『聖天使様!お言葉ですが、罪人にそのような慈悲は必要ありませんぞ!此奴は世界を破滅に追い込んだ大罪人、即刻処罰すべきです!』 広間にいた上位天使のひとりが、聖天使に向かって抗議する。しかし聖天使は、上位天使の言葉を否定した。 『卿の主張も理解できる。だがこの者は、世界の使者たる精霊を従えし導師。導師は民を導く存在であり、それは神より与えられし人間の役割。その導師を斬り捨てるは、世界の、神の意思に背くことになる。卿はそれでも良いのか?』 『しかしですね……』 『また此度の件で、我ら天は地上に干渉し過ぎた。それこそ、秩序を乱しかねないことではないか?今後このようなことがあってはならんのだよ』 三世界は本来、各世界それぞれの役割があり、如何なる理由であれ他世界に干渉することをあまり良しとしていない。 それは、世界の秩序を担う天界とて、例外ではない。 『よって罪人には、贖罪として天の執行者の任を命ずる!』
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