始まりの物語

4/6
前へ
/6ページ
次へ
こうして、裁判は終わった。 再び牢へと繋ぎとめられた僕は、聖天使の決定に僅かな疑問を抱いていた。 生かされたことへの疑問もそうだが、聖天使が口にした執行者とは、一体何なのか。 天は僕に一体、何をさせようとしているのだろうか。 考え続けても、一向に答えがでない。しかし答えを持つ人物は、意外と早くやった来た。 『気分はいかがです?導師』 そういって僕の前に現れた女性は、明らかに上位天使の一角であることがわかった。 そして、先程の裁判所にいた天使達と異なり、女性の背中からは白ではない蒼い翼が生えていたことも。 この天界に於いて、蒼い翼を持つ部隊は一つしかない。 「守護天使……」 聖天使直属諜報警護部隊、守護天使。この天界でも数少ない、他世界への干渉を許された、天界でもトップクラスに入る重役部隊だ。 『隊長から、貴方の話は聞いています。部下がお世話になったそうですね』 彼女の言葉に、僕は静かに俯く。 全てが終わったあの日、拘束されていく僕を彼女は、ただ泣きながら見ていた。 それ以来、最愛の彼女には会っていない。 「その……、彼女は元気ですか?」 『一応は元気ですよ。ただ、貴方の拘束が余程ショックだったのでしょう、今は療養も兼ねて休隊措置を取っています』 「そうですか。よかった……」 状態はどうあれ、彼女が元気だとわかり思わず安堵する。処罰されているのではないかと不安もあったが、その心配もなさそうだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加