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こうして、裁判は終わった。
再び牢へと繋ぎとめられた僕は、聖天使の決定に僅かな疑問を抱いていた。
生かされたことへの疑問もそうだが、聖天使が口にした執行者とは、一体何なのか。
天は僕に一体、何をさせようとしているのだろうか。
考え続けても、一向に答えがでない。しかし答えを持つ人物は、意外と早くやった来た。
『気分はいかがです?導師』
そういって僕の前に現れた女性は、明らかに上位天使の一角であることがわかった。
そして、先程の裁判所にいた天使達と異なり、女性の背中からは白ではない蒼い翼が生えていたことも。
この天界に於いて、蒼い翼を持つ部隊は一つしかない。
「守護天使……」
聖天使直属諜報警護部隊、守護天使。この天界でも数少ない、他世界への干渉を許された、天界でもトップクラスに入る重役部隊だ。
『隊長から、貴方の話は聞いています。部下がお世話になったそうですね』
彼女の言葉に、僕は静かに俯く。
全てが終わったあの日、拘束されていく僕を彼女は、ただ泣きながら見ていた。
それ以来、最愛の彼女には会っていない。
「その……、彼女は元気ですか?」
『一応は元気ですよ。ただ、貴方の拘束が余程ショックだったのでしょう、今は療養も兼ねて休隊措置を取っています』
「そうですか。よかった……」
状態はどうあれ、彼女が元気だとわかり思わず安堵する。処罰されているのではないかと不安もあったが、その心配もなさそうだ。
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